「笑顔」と「笑う」の違いってなに?…突然言われたこの質問 あなたは答えられますか。
ホテルの専門学校には大抵、現場研修があります。行く時期や採用期間に違いはありますが、どの専門学校でも1度はホテルという「現場」で就業体験が出来ます。
私も学生時代にはホテル実習を体験する機会があり、その時のエピソードをお話します。
1995年3月、東京パレスホテルのコーヒーラウンジに配属されました。先輩ホテルマンからオーダーを渡され、コーヒーカップを用意してお客様に提供するくらいの仕事が出来るようになった頃です。
当時はまだ喫煙がどの席でも可能でしたので、灰皿の交換は1本でも吸い終わったら交換する。コーヒーカップは湯煎(ゆせんと読む お湯でカップを温めること)をしてからお客様にお出しする。お出しする水のグラスに水滴が付かないように拭き取るなど、実践的なことは少し年齢の近い先輩方から教えてもらっていました。
と、ある時、お店の支配人がそばに近寄ってきました。
『たまには私も指導しないとね。「笑顔」と「笑う」の違いがなにか考えて、仕事終わりに教えて』と。
突然の質問に必死に考えたのですが、当時の私にはこの言葉「笑顔・笑う」の本質をとらえることが出来ずに以下のように答えました。
「笑顔」とは声を出さずに微笑むこと。「笑う」とは声を出して歯が見えるぐらい口を開ける。つまり、声を出すか、出さないかです!!
これに対して支配人から「0点」と評価
もう、頭がパニックで、当時の私からすれば支配人と話しをするだけでも緊張するのに、さらに質問が。『お客様見て笑う?笑わないよね。笑顔で接するよね?』と。
もう、「はい」しか答えられない状況に支配人より
『笑顔とは相手の為にする行為』
『笑うとは自分の為にする行為』
あ、思いました。仕事中に同じ実習生同士で話しをしているときに笑っていたこと、先輩のちょっとした冗談に思わずニヤッとしたことを笑顔と解釈して、お客様の前で笑っていても明るい雰囲気づくりだから良いと思っていたこと。
実はそれは全て自分の為だったと気付かされました。
私は笑うことが好きです。楽しい気持ちになれるからです。
よく、「お客様の笑顔の為に」という言葉がありますが、本当に満足がいく接客を受けたお客様はたくさん笑っている気がしています。自分の笑顔でお客様が笑って頂ける空間を作り上げるのがホテルで働くひとには大切なのではないでしょうか。
ホテル実習で学ぶことは、身体で覚える実技を体験する実習とホテリエとしての心得を学ぶ場でもあります。また学校内で学んだことをホテル実習で再確認する場でもあります。
「笑顔に勝る接客はなし」と言います。笑顔を向けられると気持ちがいいですよね。
笑顔とは相手を楽しませる行為です。ホテリエにとって『笑顔』が大切な理由が少しでも分かって頂けたら幸いです。

『笑顔』が素敵なホテリエになろう