Column by Tokyo Wedding Hotel College

2020/3/2

ホテリエの業界用語「ノーインフォメーション」の意味

『今日のディナーはIPゲスト来館予定。ノーインフォ、ノーステイ。食事はクィック、ノーサインにて。食後は正面玄関からドアマン待機でお願いします。』

 

とある日常、ホテリエの会話風景です。さぁ何が話されているのか分かりますか。

 

それでは、レッツ シンキング!!…

 

朝、ランチ前に宿泊部及び料飲部の事務所内にてミーティングがあります。

『本日の主要ゲスト』『宿泊稼働率』『各レストランの予約状況』『主要宴会』など一日の流れが各部所長に伝えられます。

 

お客様は平等ではありますが、重要顧客や世論に影響力のある人物の情報は全ホテリエが共有します。

 

『VIP』(Very Important Person)の略 ベリーインポータントパーソン

通称『VIP』と略される最重要人物のこと。

ホテルによって基準が違いますが、一般的に『皇族・皇室』の方々を指します。

 

『IP』(Important Person)の略 インポータントパーソン

重要人物のこと。主に『内閣総理大臣を含む、国務大臣(閣僚)』を指します。

(一流ホテルのホテリエは閣僚の写真と名前の新聞記事をスクラップし携帯しています。)

その他の政治家や芸能人、スポーツ選手なども各ホテルによって区分があります。

 

『宿泊稼働率』とは、お客様が全客室の何%宿泊しているかを数字で表したもの。

『No Information』ノーインフォメーションとは外部からの問い合わせにお答えしないこと。

『No Stay』ノーステイとは、ホテル施設は利用するが、宿泊せずにお帰りになること。

 

宿泊稼働率が高い日は、次の日のチェックアウトが混み合う、清掃ルームが多くなる、朝食利用のお客様が増加するなど、ホテルにとって繁忙となります。

お客様の「情報」を守る為に利用者名を公表しない『No Information』、宿泊をしない『No Stay』場合はお帰りの誘導などにも気を配ります。

 

レストランの予約状況もミーティングでは伝えられます。忙しいビジネスマンやバスランチ(観光バスでホテルランチを楽しんで、次の行楽地へ向かう)の場合には『クィックサービス』という手法を用いることがあります。

 

本来はゆっくりと食事を楽しんでもらう事がレストランでの目的ですが、時間の制約がある場合には、コース料理やセット料理を次々とテーブルに並べるサービスのことです。

ホテルの味を短時間で堪能したい時などに特別に『クィックサービス』をお願いすることも可能です。(各ホテル、要事前相談)

 

後日料金請求や宿泊付け(チェックアウト時に宿泊代と一緒に精算)をする場合、利用者にご署名(Signサイン)を頂戴します。

が、事前に了承を得ているお客様へは『No Sign ノーサイン』にすることも。

素性が分かる『IP』ゲストも「Sign」を頂く手間を省く、ホテルサービスの一環があります。

 

『主要宴会』とは、特に人数が多い場合や「重要人物」が参加者される場合には、ホテリエは共有をします。

宴会の後はたくさんの方が一斉にお帰りになります。

特に、政治家、会社役員など、運転手付き(ドライバー付き)での来館者が多く、ホテル正面玄関、駐車止めを利用します。

 

お帰りの際にドアマンに誘導してもらう、『ドアマン待機』をお願いしておきます。

 

ここが『ドアマン待機』プロとしての本領発揮です。

まず、大手企業の役員の車種、車番(ナンバープレート)、乗っている人物の把握をしているところです。

もちろん、政治家の方々のお車情報もインプットされています。

(※私の知り合いのホテリエ、チーフドアマンは3000車種を把握しているとのこと!!)

 

このように、お客様が快適に過ごして頂く為に、各ホテルスタッフが全員で情報を把握しています。

以前のコラムでもお伝えしましたが、お客様とコミュニケーションが取れるようになるには、まずはスタッフ通しでコミュニケーションが取れないと出来ないという事です。

 

業界用語、いかがでしたか。難しいことはなく、全てお客様へのおもてなしを略称した用語が多いように感じられます。

 

この他にも東京ウェディング・ホテル専門学校では『ホテルビジネス』という授業があります。

授業内で、ホテルの備品や用語をわかりやすくお伝えしてホテル実習で活かせる内容になっています。

この授業で学習することで1年次には『ホテルビジネス技能検定2級』にチャレンジすることが出来ます。皆様も用語を覚えて資格取得を目指します。

ホテルインターコンチネンタル東京ベイで活躍する卒業生

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