金曜日が来るのが、楽しみでした。
結婚式の準備で慌ただしくなる金曜日。私はその時間を過ごすのが好きでした。
ホテルや専門式場では、結婚式が行われる前日の、特に金曜日は大忙し。
次の日にお休みの方々が、夜遅くまで宴会をしているからです。
会食や接待、懇親会など、パーティーが集中しがちなのが、週末の金曜日です。
レストランウェディングともなれば、通常の営業からウェディング用にテーブルを配置するので最後のお客様がお帰りになるのを待って、そこから準備を始めます。
ホテルウェディングでキャプテンをしていた頃、金曜日の朝は少し早めに出社します。
自分が担当する結婚式の準備をする為です。
・食事をする来賓のお客様のお席札に間違えがないのか、確認。
・引出物(帰りにお持ちになるお土産のこと)の数がちゃんと納品されているのか、確認
・参列する人数と発注された料理数が合っているのか、確認
朝のチェックは軽めに済ませておきます。
夕方からは一般宴会が行われるので、そちらを担当します。パーティーであれば夕食が出される18時頃からスタートして、21時くらいに終了でしょうか。
そこから、ウェディングの会場をセッティングします。
新郎・新婦がお座りになるメインテーブルをセットします。
(お二人の席は会場の中心なので、最初にテーブルの位置を決めます。そのあと来賓のお客様用のテーブルを広げて、会場の調和を図ります)
5名~10名が掛けられる大きな円卓を会場内に入れ込みます。
ある程度、会場準備が整ったところでスタンバイはお任せして、担当プランナーと前日打合せを行います。
プランナーとの前日打合せは、その日の遅い時間に行います。
遅い時間帯であれば、その方がよいのです。
これには理由があります。
結婚式も前日ということで、新郎・新婦からの電話や来館があり、ぎりぎりまでプランナーとやり取りをしていることが多いからです。
朝、早い時間に打合せをしてしまうと、変更点が更新されず、準備のやり直しがあるかも知れないからです。
キャプテンとして、最新情報を得ておくことも結婚式を成功させる秘訣だと思います。
さて、皆さんは「サムシングフォー(Something four)」をご存じでしょうか。
結婚式で花嫁の幸せを願う4つのアイテムのこと。
イギリスの童謡集「マザー・グース」に出てくる、次のような詩に由来します。
“Something old, something new, something borrowed, something blue, and a sixpence in her shoe.” 「何か古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの、そして靴の中に6ペンス銀貨を」 これらを結婚式の日に身につけると、その花嫁は幸せになれるというおまじないです。
ヨーロッパでは200年以上前から取り入れられていて、それぞれに素敵な意味が込められています。
お二人の生まれた時の写真を受付廻りに飾る …Something old
新しいアクセサリーやハンカチを用意する …something new
中座する時におばあちゃんの手を借りる …something borrowed
ブーケにさりげなく青色のお花を入れてみる …something blue
などなど、簡単に取り入れることができます。
金曜日のホテルは、前泊される親族の方や、週末のお休みを利用して宿泊するカップルや家族連れ、宴会利用の企業の方々など賑やかで、華やかな時が流れていきます。
そんな中、おふたりがお持ち込みになられた、写真立てや来賓の方へお渡しする品物を見ていると、その方々の人となりが分かる気がします。
青い色の物を見つけたりすると「サムシングブルー」を取り入れたのかなと勝手に想像してしまいます。
そのようなことを考えつつ、明日の結婚式の準備にスタッフ全員がチームとなり、作り上げる瞬間。
一生に一度の結婚式に携わることが出来ることは最高の幸せです。