Column by Tokyo Wedding Hotel College

2024/5/21

結婚式場(ブライダル業界)の繁忙期・閑散期とは?就活の参考情報を紹介!

ブライダル業界への就職を考えている場合、結婚式場の繁忙期・閑散期が気になるのではないでしょうか。ウエディングプランナーはやりがいを感じやすい仕事ですが、繁忙期には多忙な日々になることも予想されます。就職してからのライフスタイルをイメージするためにも、シーズンごとの特徴を知っておきましょう。

シーズンごとのブライダル事情

繁忙期・閑散期を紹介する前に、まずはシーズンごとのブライダル事情をみていきましょう。結婚式場の観点からみると、1年間は大きく次のように分けられます。

  • 1月~2月
  • 3月~4月
  • 5月
  • 6月
  • 7月~8月
  • 9月~11月
  • 12月

これらシーズンごとの結婚式の特徴や新郎新婦の想いなどを知ることで、繁忙期・閑散期が生まれる理由が分かり、ブライダル業界への理解が深まるかもしれません。それぞれの月別ごと、どのような事情があるのか紹介します。

1月~2月|寒い時期であるため挙式数は少なめ

1月〜2月は寒さが厳しい時期であるため、結婚式を挙げる時期としては敬遠されがちです。寒いとウエディングドレスを着るのも大変ですし、雪が多い地域では天候不順も心配されます。年明けの忙しいシーズンであるため、ゲストを招待しづらいことも1月〜2月の挙式が少なくなる要因の一つです。
また、1月〜2月は写真撮影に向いていない季節でもあります。映える撮影ロケーションがあるホテル・教会でも、冬の天候だと暗い印象になってしまう可能性が高いです。
このような理由から1月〜2月に結婚式を挙げる方は多くありませんが、あえてオフシーズンを狙って式を挙げる新郎新婦も珍しくはありません。1月〜2月は、ほかの季節よりも結婚式費用を抑えやすく、時期にこだわらない方にとっては人気が高いためです。
なお、1月〜2月の挙式数は減るものの、会場見学に来るカップルの数は増えやすい傾向にあります。年末年始にご両家に挨拶へ行き、正式に婚約する方も多いでしょう。つまり1月〜2月が結婚式の準備を始めるタイミングと重なるのです。

3月~4月|ガーデンウェディングにもおすすめ

3月〜4月になると徐々に暖かくなり、さらに暑すぎない気候が好まれ、徐々に挙式数が増えてきます。新郎新婦はもちろんゲストにとっても快適ですし、屋外でのロケーション撮影にも最適なシーズンです。
ガーデンウェディングを希望される新郎新婦も、3月〜4月ころを挙式時期に選ぶ場合が少なくありません。4月になり、花が咲き始める頃も人気が高いです。

5月|挙式数・会場見学者数ともに増える時期

5月は梅雨入り前で晴れる日が多く、3月〜4月よりも暖かくなるため、結婚式シーズンとして人気が高い月です。防寒・暑さ対策にそれほど気を遣わなくてもいいため、新郎新婦はもちろんゲストも衣装に困りません。また、5月後半を挙式日としておけば、ゴールデンウィークに準備を進めることも可能です。
このように5月は新郎新婦・ゲストともにメリットが多い時期であるため、一年間の中で挙式数が増えやすい月の一つです。また、4月最終週〜5月中旬にかけては、会場見学者数も増えてきます。そのため、結婚式場・ウエディングプランナーは、ゴールデンウィークに休みが少ないことも覚えておきましょう。

6月|雨は多いがジューンブライドの時期

6月といえば、ジューンブライド(June bride)を思い浮かべる方も多いでしょう。6月に結婚式をすることで一生幸せな結婚生活を過ごせるという伝承で、憧れている新郎新婦も少なくありません。
また、6月は結婚式に向いている記念日が多いことも特徴です。6月第一日曜日の「プロポーズの日」をはじめ、6月12日は「恋人の日」、夏至(6月21日前後)は「キャンドルナイトの日」、さらに6月第三日曜日は「父の日」です。これらのロマンティックな日と合わせて挙式する方も少なくありません。
ただし、6月は梅雨の時期でもあるため、天候不順を心配する方も多いです。雨や湿気が多いとヘアセットやメイクにも影響しますから、とくに女性にとってはデメリットの多いシーズンです。そのためジューンブライドとして有名な月であるわりには、挙式数はそこまで多くありません。

7月~8月

7月後半〜8月になると梅雨は明けますが、暑さが気になるシーズンになります。新郎新婦はもちろんゲストにとっても辛い時期であるため、挙式を避けるカップルも多いです。また、夏休みやお盆と重なるため、ゲストに予定があり招待しづらい可能性もあります。

9月~11月

9月に入ると暑さも和らぎはじめ、徐々に挙式数も増えてきます。とくに10月は天候が安定しており晴れの日が多く、さらに花粉や黄砂も少ない時期として人気が高いです。また、まだ屋外に緑や紅葉が残っているシーズンでもあるため、ガーデンウェディングやロケーション撮影にも向いています。
年末年始や年度末・年度始めを避け、さらには祝日を含めた連休もあるシーズンとして、9月〜11月は結婚式場の最盛期といえるでしょう。そのため、ウエディングプランナーにとっては一年の間でもっとも忙しい時期です。

12月

12月に入ると新郎新婦・カップルともに仕事が忙しい時期になり、あまり結婚式が挙げられることはありません。ただし、イルミネーションやクリスマスの飾り付けと合わせて挙式したい方には人気のシーズンです。

ブライダル業界の繁忙期

ここまで紹介したシーズンごとの特徴をふまえると、ブライダル業界の繁忙期は「3月〜5月」と「9月〜11月」といわれています。しかし、これはあくまでも結婚式が多いシーズンです。ウエディング業界で働くことを考えているなら、次の3つの視点から繁忙期を把握しておきましょう。

  • 挙式が多い時期
  • 打ち合わせが多い時期
  • 新規来館が多い時期

それぞれ詳しく解説します。

挙式が多い時期

挙式が多い時期は、記事前半でもふれた「3月〜5月」と「9月〜11月」です。このうちもっとも忙しいのは「9月〜11月」で、とくにシルバーウィークなど連休周辺は残業が増えるかもしれません。

ウエディングプランナー一人あたり繁忙期に毎週2組が挙式すると、1か月に8組前後を担当することになります。そこに次月以降挙式する方の打ち合わせも重なるため、繁忙期がはじまる3月・9月はとくに忙しいことが予想されるでしょう。

打ち合わせが多い時期

挙式ではなく、結婚式へ向けた打ち合わせが多い時期も存在します。代表的なシーズンは次の2つです。

  • 12月〜2月
  • 6月〜8月

結婚式の打合せは、挙式当日の3か月〜4か月前から始まります。つまり3月〜5月に向けた打ち合わせが始まる「12月〜2月」と、9月〜11月へ向けた「6月〜8月」は、挙式数としては閑散期であるものの、繁忙期へ向けた打ち合わせ業務は増えやすいのです。
もちろん、これらの打ち合わせと並行して、閑散期に挙式するカップルも少なくありません。そのため閑散期といえでも暇になることはなく、常に忙しいという結婚式場も多いのです。

新規来館が多い時期

記事前半で、1月〜2月は婚約を決めたカップルが新規来館(会場見学)しやすいと紹介しました。このタイミングを含め、新規来館数が増えやすいシーズンは次の3つです。

  • 年明け1月〜2月
  • 4月後半~5月中旬(ゴールデンウィークあけ2週間程度)
  • 8月後半~9月中旬(3連休やシルバーウィークなど)

連休が多いシーズンも、結婚式場を探すカップルが増えやすい時期です。このためウエディングプランナーにとって、連休は稼ぎ時ともいえます。大型連休は取りづらい仕事ですが、その分やりがいも多いというウエディングプランナーも多いです。

ブライダル業界の閑散期

さて、ブライダル業界の閑散期としては「12月〜翌年2月」「6月〜8月」が挙げられます。これらの時期は季節的要因から挙式日に選ぶカップルが減りますが、繁忙期に向けた打ち合わせが始まる頃でもあります。
また、結婚式場の経営的観点からすると、この閑散期にいかに挙式予約を入れてもらえるかで、収益性が大きく変わることも否定できません。そのため夏・冬シーズンに特化したプランを用意したり、限定キャンペーンを開催したり、ウエディングプランナーの業務が増える可能性もあります。閑散期といっても、業務が格段に減ることはないと思っていたほうがいいでしょう。

挙式日に影響する季節以外の要因

挙式日に影響する季節以外の要因もあり、それらによって繁忙期であっても挙式がなかったり、閑散期であっても希望が重なったりするケースも珍しくありません。担当カップルからおすすめの挙式日を聞かれる可能性があるため、気にする方が多い要因についても知っておきましょう。

  • 六曜
  • 開運日・縁起が悪い日取り

結婚式のような慶事は、いわゆる「日取りのいい日」に挙げたいと考える方も多いです。その日取りを左右するのが、古くからの慣習である「六曜」や「開運日」です。最近は縁起を気にしない方も増えてきていますが、ウエディングプランナーとして知っておきたい知識をそれぞれ詳しく解説します。

六曜

ここまで季節ごとの特徴が影響する繁忙期・閑散期について紹介してきましたが、実は季節以外にも挙式日に影響する要因があります。それが六曜です。六曜とは暦注の一つで、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種類があります。

それぞれ意味を持ち、時間帯ごとに吉凶が定められていることが特徴です。大安や友引は、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。それぞれの吉凶・意味は次のとおりです。

大安
(たいあん)
六曜の中でもっとも縁起のいい吉日 終日にわたり万事吉ということで、結婚式や結納と相性がいいとされています。
友引
(ともびき)
午前・夕方・夜は吉で、昼は凶です。 大安に次いで結婚式に適しています。 「友を引く」という時から「幸せをお裾分けする日」ともされ、引出物を発送する日としてもいいとされています。
先勝
(せんしょう/さきがち)
午前が吉で午後が凶です。 午前中から式がスタートすれば、午後になってもいいとされています。
赤口
(しゃっこう/しゃっく)
基本は凶日です。午の刻(午前11時〜午後1時)のお昼時は吉です。 結婚式などのお祝い事には向かないとされています。
先負
(せんぷ/さきまけ)
午前が凶で午後が吉です。 結婚式は午後スタートであればいいとされています。
仏滅
(ぶつめつ)
字のとおり仏が滅するような大凶日です。 結婚式には適さないとされているが、午前は凶、午後なら吉という説もあり、見解が分かれています。

六曜はこのような意味を持っているため、「大安」や「友引」の日に挙式を希望する方が多いです。反対に、「赤口」「仏滅」を避ける方も少なくありません。ただし六曜はあくまでも縁起物で、科学的根拠があるわけではありません。そのため新郎新婦やご家族が気にしないの場合は、いつ挙式してもいいでしょう。
また、結婚式場としては、仏滅の日に挙式がないとそれだけ収益に影響してしまいます。そのため昨今では、「仏滅プラン」など六曜によって値下げしたプランを提供する式場もあります。なお、ウエディングプランナーとして休みを取りたい場合は、挙式希望が少ない閑散期の「赤口」「仏滅」を狙うといいでしょう。

開運日・縁起が悪い日取り

大安や友引など六曜由来の日取り以外に、次のような開運日も挙式日として人気です。

一粒万倍日
(いちりゅうまんばいび)
「始めたことはすべて叶う」とされる日で、新郎新婦の門出に最適です。 大安と一粒万倍日が重なる日は、挙式希望がとくに多くなるでしょう。 月に4~6日程度あるため、比較的設定しやすいです。
天赦日
(てんしゃにち)
暦の中でも最高の吉日とされる日です。一粒万倍日と重なる日もあり、やはり挙式希望が増えやすいでしょう。 年に5〜6回ほどしかないため、スケジュール調整が難しいです。
母倉日
(ぼそうび)
とくに結婚式や入籍など婚姻関係に向いている吉日とされています。 月に4〜6日程度あります。
天恩日
(てんおんにち) 
慶事と相性のいい吉日です。 季節や干支などの組み合わせにより決められる日で、年に5〜6回ほどしかありません。

また、六曜以外にも、結婚式とは相性の悪い日取りとして次のような例が挙げられます。

不成就日
(ふじょうじゅび)
始めたことが成就しにくい凶日とされています。 約一週間に一度(月に4回程度)の頻度であるため、大安と重なることも珍しくありません。
土用の日
(どようのひ)
季節の変わり目となる時期にあり、新しいことを始めるのには向いていないとされています。

曜日別の忙しさや残業時間

季節による繁忙期・閑散期や六曜・開運日による挙式希望の変化に加え、曜日によってもウエディングプランナーの忙しさや残業時間は変わります。平日は10時〜11時出勤のケースが多く、打ち合わせの予定さえなければ17時〜19時、遅くとも21時には帰宅できるでしょう。
一方、休日(土日)は新規来場者や打ち合わせも多いため、非常に忙しくなることが予想されます。一日の勤務時間が、12時間程度になる日もあるかもしれません。ウエディングプランナーはお客様対応だけではなく、業者手配や事務作業などにも対応するため、とくに繁忙期の土日は忙しくなりやすいのです。

結婚式準備のスケジュール

結婚式は、数日の準備で成り立つものではありません。素敵な結婚式にするために、ウエディングプランナーと新郎新婦は結婚式の数か月前から準備を続けます。ここまで紹介した繁忙期・閑散期の情報と合わせて、結婚式準備のスケジュールについても知っておきましょう。
まず、挙式日の約3か月〜4か月前から式のテーマ・コンセプトを決め始めます。たとえば一番人気のある10月に式を挙げたい場合は、6月〜7月頃には準備を始めるということです。また、ゲストにスケジュール調整してもらうためにも、この頃から招待状作成をはじめ、挙式日の2か月〜3か月前には発送します。
2か月〜3か月前には結婚式の進行内容や各アイテム(料理屋ブーケ、写真、引出物など)の内容も詰め、お見積りを提示します。ウエディングプランナーとしては、これらの企画が発生するタイミングも忙しさを感じるかもしれません。10月挙式の場合、見積り提示は7月〜8月頃です。
挙式日の1か月前には、席次決めやヘアメイクリハーサル、ブーケ・ヘッドアクセサリーの決定、司会者との打ち合わせなど、準備が本格化してきます。そして、挙式日1週間前〜前日にかけては人数確定やお支払い、荷物搬入などが始まり、忙しさや緊張感がピークを迎えるでしょう。繁忙期はこのような準備が重なることになるため、ウエディングプランナーにはマルチタスク能力が求められます。

まとめ

結婚式場(ブライダル業界)の繁忙期・閑散期を季節で表すと、この記事で紹介したとおり次のように分けられます。

  • 繁忙期:3月〜5月、9〜11月
  • 閑散期:12月〜翌年2月、6月〜8月

ただし、繁忙期・閑散期ともに曜日や六曜などによっても挙式希望日にムラが生まれ、ウエディングプランナーとしては多忙であることに変わりはありません。どの季節であろうとも結婚式を挙げる新郎新婦はいるため、一般的な繁忙期・閑散期は一つの参考情報と捉えておきましょう。

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